データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ANZUS条約(オーストラリア,ニュー・ジーランド及びアメリカ合衆国の間の三国安全保障条約)

[場所] サンフランシスコ
[年月日] 1951年9月1日作成,1952年4月29日発効
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),414‐417頁.主要条約集,1677‐1682頁.
[備考] 
[全文]

 この条約の締約国は、

 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、且つ、太平洋地域における平和機構を強化することを希望し、

 合衆国が、同国の軍隊をフィリピンに駐留させる取極を締結しており、琉球において軍隊を維持し、かつ、行政上の責任を有し、及び日本国との平和条約が効力を生じたときには、日本地域における平和と安全の維持に資するために日本国内及びその周辺に軍隊を駐留させることがあることに留意し、

 オーストラリア及びニュー・ジーランドが英連邦の構成国として太平洋地域の内外において軍事的義務を有していることを確認し、

 いかなる潜在的侵略者も、いずれかの締約国が太平洋地域において孤立しているという錯覚を起すことがないようにするため、締約国の団結の意識を公然とかつ正式に宣言することを希望し、

 さらに、太平洋地域における地域的安全保障の一層包括的な制度が発達するまでの間、平和及び安全を維持するための集団的防衛についての締約国の努力を調整することを希望し、

 よつて、次のとおり宣言しかつ協定する。

第一条

 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は、武力の行使を、国際連合の目的と両立しないいかなる方法によるものも慎むことを約束する。

第二条

 締約国は、この条約の目的を一層効果的に達成するために、単独に及び共同して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するための個別的及び集団的能力を維持し発展させる。

第三条

 締約国は、いずれかの締約国が太平洋においていずれかの締約国の領土保全、政治的独立又は安全が脅かされたと認めたときはいつでも協議する。

第四条

 各締約国は、太平洋地域におけるいずれかの締約国に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときには、終止しなければならない。

第五条

 第四条の規定の適用上、いずれかの締約国に対する武力攻撃は、いずれかの締約国の本国領域、又は太平洋にある同国の管轄下にある諸島又は太平洋における同国の軍隊、公船若しくは航空機に対する武力攻撃を含むものとみなされる。

第六条

 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響を及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。

第七条

 締約国は、ここに、この条約の実施に関する事項を審議するために、自国の外務大臣又はその代理者で構成する理事会を設置する。理事会は、いつでも会合しうるように組織するものとする。

第八条

 第七条の規定によって設置される理事会は、太平洋地域における一層包括的な地域的安全保障制度が発達し、かつ、国際の平和及び安全を維持するための一層効果的な手段を国際連合が発展させるまでの間、この条約の目的を促進し、かつ、太平洋地域の安全に寄与する地位にある太平洋地域の国家、地域的機関、国家の連合又は他の当局との間に協議の関係を維持する権限を与えられる。

第九条

 この条約は、締約国により、各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。批准書は、なるべくすみやかにオーストラリア政府に寄託しなければならず、同政府は、他の署名国にこの寄託を通告する。この条約は、署名国の批准書が寄託されたときに効力を生ずる。

第十条

 この条約は、無期限に有効とする。締約国は、オーストラリア政府に通告を行つてから一年後に第七条の規定によつて設立された理事会の構成員であることを終止することができ、オーストラリア政府は、他の締約国の政府にこの通告の寄託を通知する。

第十一条

 英語によるこの条約は、オーストラリア政府の記録に寄託する。オーストラリア政府はこの条約の認証謄本を他の各署名国政府に送付する。

 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。

 千九百五十一年九月一日にサン・フランシスコで作成した。