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日本政治・国際関係データベース
東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室

[文書名] シンガポールとの「血債」協定(日本国とシンガポール共和国との間の千九百六十七年九月二十一日の協定)

[場所] シンガポール
[年月日] 1967年9月21日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),727−728頁.
[備考] 
[全文]

 日本国及びシンガポール共和国は、

 両国の外務大臣が、第二次世界大戦の間のシンガポールにおける不幸な事件に関する問題の早期のかつ完全な解決が日本国とシンガポール共和国との間の友好関係の増進に建設的に寄与することを認めて、無償供与としての二千五百万シンガポール・ドル及び特別の条件による借款としての二千五百万シンガポール・ドルからなる五千万シンガポール・ドルが日本国によりシンガポール共和国に供与されることにつき意見の一致をみた千九百六十六年十月二十五日の共同コミュニケを想起し、

 シンガポール共和国の経済開発の促進のために使用されるべき前記の二千五百万シンガポール・ドルの無償供与に関する協定を締結することを希望して、

 次のとおり協定した。

第一条

l 日本国は、現在において二千五百万シンガポール・ドル(二五、〇〇〇、〇〇〇シンガポール・ドル)に換算される二十九億四千万三千円(二、九四〇、〇〇三、〇〇〇円)の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務をシンガポール共和国に無償で供与するものとする。

2 前記の生産物及び役務の供与は、両国政府間の合意により延長されない限り、この協定の効力発生の日から三年の期間にわたつて行なわれるものとし、かつ、期間中合理的な程度に均等に配分して行なわれるものとする。

3 この条の規定に基づいて供与される日本国の生産物及び日本人の役務は、シンガポール共和国政府が提案し、かつ、日本国政府が同意することのある計画のために使用されるものとする。

4 両国政府は、この条の規定の実施のため、必要な取極を締結するものとする。

第二条

 シンガポール共和国は、第二次世界大戦の存在から生ずる問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認し、かつ、同国及びその国民がこの問題に関していかなる請求をも日本国に対して提起しないことを約束する。

第三条

 この協定は、シンガポール共和国政府が日本国政府から、この協定が日本国によりその国内法上の手続に従つて承認された旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。

 以上の証拠として、下名は、それぞれの政府から正当に委任を受け、この協定に署名した。

 千九百六十七年九月二十一日にシンガポールで、英語により本書二通を作成した。

日本国のために

上田常光

シンガポール共和国のために

ウーン・ワー・シアン