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日本政治・国際関係データベース
東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室

[文書名] 日韓請求権並びに経済協力協定,合意議事録(1)

[場所] 東京
[年月日] 1965年6月22日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),593‐595頁.外務省条約局「条約集・昭和40年(二国間条約)」.
[備考] 
[全文]

 日本国政府代表及び大韓民国政府代表は、本日署名された財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(以下「協定」という。)及び関連文書に関して次の了解に到達した。

1 協定第一条1に関し、

 日本国が供与する生産物及び役務は、日本国内において営利目的のために使用されることはないことに意見の一致をみた。

2 協定第二条に関し、

(a)「財産、権利及び利益」とは、法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいうことが了解された。

(b)「特別の措置」とは、日本国については、第二次世界大戦の戦闘状態の終結の結果として生じた事態に対処して、千九百四十五年八月十五日以後日本国において執られた戦後処理のためのすべての措置(千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)の規定に基づく特別取極を考慮して執られた措置を含む。)をいうことが了解された。

(c)「居住した」とは、同条2(a)に掲げる期間内のいずれかの時までその国に引き続き一年以上在住したことをいうことが了解された。

(d)「通常の接触」には、第二次世界大戦の戦闘状態の終結の結果として一方の国の国民で他方の国から引き揚げたもの(支店閉鎖を行なつた法人を含む。)の引揚げの時までの間の他方の国の国民との取引等、終戦後に生じた特殊な状態の下における接触を含まないことが了解された。

(e)同条3により執られる措置は、同条1にいう両国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題の解決のために執られるべきそれぞれの国の国内措置ということに意見の一致をみた。

(f)韓国側代表は、第二次世界大戦の戦闘状態の終結後千九百四十七年八月十五日前に帰国した韓国国民が日本国において所有する不動産について慎重な考慮が払われるよう希望を表明し、日本側代表は、これに対して、慎重に検討する旨を答えた。

(g)同条1にいう完全かつ最終的に解決されたこととなる両国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題には、日韓会談において韓国側から提出された「韓国の対日請求要綱」(いわゆる八項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、したがつて、同対日請求要綱に関しては、いかなる主張もなしえないこととなることが確認された。

(h)同条1にいう完全かつ最終的に解決されたこととなる両国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題には、この協定の署名の日までに大韓民国による日本漁船のだ捕から生じたすべての請求権が含まれており、したがつて、それらのすべての請求権は、大韓民国政府に対して主張しえないこととなることが確認された。

3 協定第三条に関し、

同条3にいう両国政府のそれぞれが選定する国及びそれらの国の政府が協議により決定する第三国は、日本国及び大韓民国の双方と外交関係を有する国のうちから選ばれるものとすることに意見の一致をみた。

4 第一議定書第二条1に関し、

(a)韓国側代表は、協定第一条1の規定に基づく供与又は貸付けにより行なわれる事業の遂行上必要であると予想される大韓民国の国内資金を確保するため、大韓民国は、日本国政府が一億五千万合衆国ドルに等しい円の額をこえる資本財以外の生産物を供与することを期待する旨を述べ、日本側代表は、これに対し考慮を払う用意がある旨を答えた。

(b)日本国が供与する生産物は、武器及び弾薬を含まないものとすることに意見の一致をみた。

5 第一議定書第二条2に関し、

 外国為替上の追加の負担が日本国に課される場合とは、当該生産物を供与するために、(i)特に高い外貨負担が必要とされる場合、及び(ii)同等の品質の日本国の生産物により代替することができる輸入品又は独立の機能を有する輸入機械部品の購入に当たつて外貨負担が必要とされる場合をいうことに意見の一致をみた。

6 第一議定書第三条に関し、

(a)同条1につき、韓国側代表は、契約の締結が日本国内で行なわれること、及びこの契約の締結とは署名を意味し、署名にいたるまでの入札、公告その他の行為については、大韓民国政府(調達庁)が行なう場合は原則として大韓民国において、その他の場合は大韓民国又は日本国において、これらの行為が行なわれることを了解すると述べ、日本側代表は、これに対し異議がない旨を答えた。

(b)同条2の契約であつて、輸送、保険又は検査のような附随的役務の供与を必要とし、かつ、そのための支払が第一議定書に従つて行なわれることとなつているものは、すべて、これらの役務が日本国民又は日本国の法人によつて行なわれるべき旨の規定を含まなければならないことが了解された。

7 第一議定書第六条4に関し、

 日本国により供与された生産物が加工(単純な組立加工又はこれと同程度の加工を除く。)又は両政府間で合意されるその他の処理を加えられた後大韓民国の領域から輸出された場合には、同条4の規定は適用されないものとすることに意見の一致をみた。

8 協定第一条1(b)の規定の実施に関する交換公文に関し、

(a)同交換公文2(b)の事業計画合意書の効力発生の日とは、事業計画合意書に別段の規定がある場合を除くほか、それぞれの事業計画合意書の署名の日を意味することが了解された。

(b)同交換公文2(c)の貸付けの実行の日とは、日本側の輸出者と大韓民国側の輸入者との間で締結される契約の定めるところに従つて、海外経済協力基金が、大韓民国政府のために、日本側の輸出者に対して支払を行ない、同基金に開設される大韓民国政府の勘定に借記する日であることが確認された。

千九百六十五年六月二十二日に東京で

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