・「図伝第1章第7節」発表・翻訳担当 小島毅(東京大学助教授)
今回の研究会では「最初無称図」をさらに 6 段階にわけた図説の中、その第 5 段階にあたる「気著理隠図」 (Qizhuliyin-tu) を取り上げ読解を進めた。その中でとりわけ論点とされたのは、劉智の現象の根源として論じる「元気」が、アリストテレスの四元素の質理における“第一の質料”と極めて近い形で扱われている点であり、中国哲学における“原子論”の有無を含め様様な視角から検討されたが、今後のさらなる調査と分析をまつこととなった。また、「妙」と「跡」という中国哲学では見られない対義が用いられていることについては、これはイスラーム哲学における latif と athar をうつしたものである可能性があるとの指摘も見られた。
(文責:黒岩 高)