・「図伝第1章第6節」発表・翻訳担当 小島毅(東京大学助教授)
今回の研究会では「最初無称図」をさらに6段階にわけた図説の中、その第5段階にあたる「性理始分図」 (Xinglishifen-tu) を取り上げ読解を進めた。その中で指摘されたのは、まず、人の本源である性と物の本源である理について、イスラーム哲学におけるruhと`aqlにになぞらえて捉えられている可能性が高いこと。次に、すべての流行・分析の余り物として表現される冥滓はイスラーム哲学におけるdurdi latif(精妙な滓の意)に相応するの可能性があることなどが挙げられる。また、劉智が性を構成する九段階のうち最初の4段階を論じる際に、至聖・大聖・欽聖・列聖という序列を用いていることについて、これがいかなる基準に由来するものかという疑問が提出されたが、これについては以降の分析を待つこととなった。
(文責:黒岩 高)