イスラーム地域研究5班

5aサライ・アルバム第3回研究会

日時:平成10年11月7日(土)13:00-18:00

会場:上智大学 9号館 349番教室

参加者:19名 

プログラム

1)関喜房氏

「ムラッカアの序文の構成」

「ムラッカア」という言葉が「アルバム」を指すようになった歴史を振り返り、サライ・アルバムと最も関係が深いと思われる15世紀及び16世紀の6つのムラッカア序文を取り上げ、内容を紹介した。序文の構成を詳細に分析することで、序文相互の影響関係をも明らかにした。

2)岩武昭男氏

「イルハン朝期の出版事情−ワクフ文書の事例より−」

イルハン朝後期の政治家ラシードによる「ラシード区ワクフ文書補遺」を事例として、14世紀前半におけるラシード区での写本作成の状況を示した。更に様々なイルハン朝文献を駆使して、ラシード区で制作された写本の作成過程、携わった書写生、装飾家、挿絵画家、使用された紙の種類などにも触れた。

3)ヤマンラール・水野美奈子氏、小柴はるみ氏

「トプカプ宮殿美術館における予備調査報告 今後の研究方針、及び展望」

本年9月11日から25日までトプカプ宮殿博物館図書館にてヤマンラール、小柴両氏によって行われた、サライ・アルバム研究の予備調査の報告がなされた。両氏はH. 2153及びH. 2160を中心とした初期調査を行い、アルバムの白黒写真コピー複写、数葉のカラー撮影(スナップ)等、館長の許可を得て実施した。この予備調査によって、H. 2152とH. 2154の保存状態の悪さが明らかにされると共に、今後の調査における具体的な問題点が提起された。

4)ディスカッション・情報交換

レギュラー・メンバーの間で、今後の調査に際してのノートの取り方のフォーマットの統一、調査の進め方、必要機材などが話し合われた。

5jimu@culture.ioc.u-tokyo.ac.jp